「もの」売りではなく、「こと」売り
~体験を売る~
うわ~!靴まで真っ二つに切れるほど切れ味がいい包丁なら、
うちの包丁も買い替えた方が毎日の料理がラクになるかも~!
えっ!こんなだらしない体型の人が、たった2か月で憧れの細マッチョになれるの!?
オレも結果にコミットするジムに行けば、この人みたいに痩せてカッコよくなれるかも!
えー!!この人63歳!?
あんなにシミやくすみだらけのお肌が、この美容液を3か月続けただけでこんなにキレイになるの!?
上記は、よく見かけるCMやテレビショッピングですが、
これらの宣伝に共通しているのがただ商品を紹介しているだけではないということ。
CMや番組の中で、実際に商品やサービスを使用しているところを見せることによって
商品を使用した疑似体験を売っているのです。
他にも、このブレスレットをつけるだけで宝くじが当たって、かわいい彼女もできました!とか、
お金がどんどん貯まる幸運の黄色い財布!とか、
あなたもモテモテ!異性を誘うフェロモン香水とか・・・。
にわかに信じがたいようなあやしい商品も、体験者の声(レビュー)があると信憑性が高まります。
(写真付きならなおさらですよね…)
車や家の広告でも、自分がその車に乗っている様子や、
その家でくつろいでいる様子を想像させることで、購買意欲を誘います。
高級車なら夜の街を走りながら運転席のラグジュアリー感を出したり、
逆にファミリーカーなら子どもが乗り降りしやすいとか、たくさん荷物が詰め込めるとか。
家なら、広々ウッドデッキがあっておうちBBQができる!とか、
ふんだんに木を使用した落ち着いたリビングでゆったり過ごせる、とか。
その車や家を買ったら、『どんなことができるのか?』『どんな自分になれるのか?』
ということをすべて体験に置き換えて表現しているのです。
商品そのものを知ってもらいたい、見てもらいたい、と紹介したくなるのが売り手の心情ではありますが、
購入する側は、その商品やサービスを利用することでどんな体験ができるのか?ということが知りたいということです。
広告を考える上で、そんなストーリーを考えながら作ってみると、作る方も見る方も楽しいものができる気がします。
文責
アサヒ印刷株式会社
代表取締役 茨木耕司
流通科学大学 商学部 流通学科(現マーケティング学科)卒業
卒論は「無店舗販売について」