ウィッグのおばちゃん2

登場人物:
A子=ウィッグのおばちゃん
B子=その友達


前回からの続き

件のファミリーマートが改修のためしばらく休業していたこともあり、
あの“ウィッグ事件”のことも、いつしか記憶の奥に追いやられていた。

そんなある日。
リニューアルオープンした店舗に、ふらりと立ち寄ったときのことだ。

ふと視線を上げた瞬間、見覚えのある人物と目が合った。

(あっ……あのウィッグのおばちゃんや)

次の瞬間。

A子「あーーー! にーちゃん久しぶり!元気してた!?」

距離感が、近い。近すぎる。
もはや一度会っただけの関係性ではない。

私「元気してましたよ(営業スマイル)」

隣を見ると、B子の姿もあった。

B子「この人だれ?」
——きれいに忘れられている。

A子「あの、私のウィッグで笑ったにーちゃんやん!」

B子「ふ〜ん」
——興味なし。

A子「ウィッグ、おかしない?(笑)」

私「大丈夫ですよ(営業スマイル2回目)」
——なぜか今回も最終チェックを任されている私。

そのまま、A子の口撃が始まった。

A子「にーちゃん、今日もダンディやな。何のお仕事?えらいさん?」

私「まぁまぁ、ちょっと会社をやってまして。」

A子「へぇ〜!すごいね、社長さんなんや!」

B子「ふ〜ん」
——一貫して興味なし。

A子「絶対ええ奥さんおるわぁ。奥さん幸せやなぁ!よろしく言うといて!」

私「ありがとうございます。それではまた~^^(営業スマイル3回目)」

軽く会釈をして、その場を離れる。

背後には、手を振るA子とB子の姿。

ちなみにこのウィッグのおばちゃん、軽トラに乗っていたので、
おそらく農家の奥様だろう。

店を出たあと、ふと考える。

——あのウィッグは、本当に大丈夫だったのだろうか。

いや、考えるのはやめておこう。



つづく(気がする)